パーキンソン病 【プロ編】
パーキンソン病
[概念,頻度, 分類]
パーキンソン病は,1817 年, 英国の
ジェームズ パーキンソン により振戦麻痺
として記載された疾患である。
その頻度は,わが国では有病率
人口 10万に対し 50人,しかし
欧米では 100~150 人とされていた。
最近の検討では,わが国でも 100 に
近いデータが出てきており,
非常に多い神経難病といえる。
本症は 40 歳以降の中高年発症,
緩徐進行性の変性疾患で,病理学的には
中脳黒質の変性があること,
そして黒質から線条体への
神経伝達物質であるドパミンの
不足が症状に関与することが知られている。
40 歳以前に発症する若年性
パーキンソン病,さらに,他の原因で
パーキンソン 症候を呈してくるものには
パーキンソニズムの名がつけられ、
分類上,別に扱っている。
パーキンソン病は,頻度,治療方針の
上でも最も重要な神経疾患の一つである。
「臨床症状、病態]
臨床症候としては,筋強剛,安静
時振戦,運動緩慢を三主徴とするが,
姿勢反射障害も加えて四主徴とすることもある。
仮面様顔貌,単調な言語,前屈姿勢,
小股歩行,すくみ足,小字症なども
病期により出現する。
なぜ中脳の黒質に変性が起こる
のかについては多くの研究が
なされているが,まだ原因は解明されていない。
[検査法]
パーキンソン病の診断は,神経学的診察による
症候の正確な把握で可能である。
検査法として普及している
MRI T2強調画像で中脳黒質緻密質の
萎縮を証明することや,
PET で線条体でのドパミンの
取り込みの減少を証明する
ことは可能であるが,日常診療
に供するものではない。
[診断のポイント]
先に述べた症候がそろった状態であれば、
一目で診断が可能である。
しかし,いかに軽症例を,早期に
診断するかが重要である。
そのポイントを次に述べる。
①病初期では,片側性に症候が
出現することに注目すること。
歩行の際に,罹患側の足のひきずりと,
同側の上肢の振りの減弱を見抜くこと。
の振戦のない パーキンソン病はあっても,
筋強剛のない例はまずない。
筋トーヌスを調べ,歯車現象を伴う
強剛をとらえることが大切である。
重症度について Yahr はI~V度まで分けており,
I度は片側性,III度は両側性で,
方向転換不安定,突進現象,歩行障害もあり,
このIII度以上が厚生省特定疾患の認定が受けられる。
V度は全面介助の状態である。
姿勢異常で整形外科を受診する患者は
多いと思われるが,パーキンソン病では
特有の前屈姿勢ばかりでなく,
時には側方に傾斜する姿位
(ピサの斜塔になぞらえてピサ徴候という)を
とり続ける例もあり、注意が必要である。
【鑑別診断]
振戦のみのときには本態性振戦
(動作時および姿勢時振戦)との鑑別が必要。
また,血管障害性,薬剤性などの
症候性 パーキソニズムや,
その他の中枢神経系の変性疾患
(多系統変性症, 進行性核上性麻痺など)に伴う
パーキソニズム との鑑別も重要。
「治療方針
本症は,いったん発症すれば
その治療は一生継続るものであり,
医師と患者の1対1の信頼関係
の確立と,薬物治療が中心で
あることより長期にわたる
投薬計画を立て,薬の匙加減を決める。
「薬物療法
治療の原則としては,
重症度がI~II度の段階では
抗コリン薬(トリヘキシフェニジルなど),
ドパミン受容体刺激薬(ブロモクリプチンなど),
あるいはドパミン分泌促進薬(アマンタジン)
などの単独,ないしは併用を試みる。
症状の進行に伴いドパミン補充療法
としての L-ドーパを開始する。
高齢の患者では、
早期よりL-ドーパの恩恵が
受けられるよう配慮する。
手術療法
振戦が主である場合,
視床の定位脳手術療法もある。
副腎髄質や,胎児中枢を患者の
線条体へ移植する治療が話題となっているが,
その有効性についてはまだ結論が出ていない。
副作用,予後,日常生活指導
L-ドーパ療法が3~5年と長期になると、
薬効の持続が短縮するウェアリング・オフ現象,
突然スイッチを切ったりつけたりするように
症状が変わるオン・オフ現象,
すくみ足,ジスキネジアという
不随意運動などが出現することがあり、
専門医による薬の調整が必要となる。
一方,短期間の入院観察や
リハビリテーションで投薬内容を
変更しないでも症状の
軽快をみることもある。
進行性の疾患であるが,
予後も個人個人で異なり,
可能なかぎり日常生活指導
による在宅療養を推奨する。
パーキンソン病の発症要因に関する
研究は非常に活発であり,
また,進行を予防できる可能性のある
MAO-B阻害薬(デプレニール)の
実用化も検討されており,
患者へ希望を与えることも大切である。
[概念,頻度, 分類]
パーキンソン病は,1817 年, 英国の
ジェームズ パーキンソン により振戦麻痺
として記載された疾患である。
その頻度は,わが国では有病率
人口 10万に対し 50人,しかし
欧米では 100~150 人とされていた。
最近の検討では,わが国でも 100 に
近いデータが出てきており,
非常に多い神経難病といえる。
本症は 40 歳以降の中高年発症,
緩徐進行性の変性疾患で,病理学的には
中脳黒質の変性があること,
そして黒質から線条体への
神経伝達物質であるドパミンの
不足が症状に関与することが知られている。
40 歳以前に発症する若年性
パーキンソン病,さらに,他の原因で
パーキンソン 症候を呈してくるものには
パーキンソニズムの名がつけられ、
分類上,別に扱っている。
パーキンソン病は,頻度,治療方針の
上でも最も重要な神経疾患の一つである。
「臨床症状、病態]
臨床症候としては,筋強剛,安静
時振戦,運動緩慢を三主徴とするが,
姿勢反射障害も加えて四主徴とすることもある。
仮面様顔貌,単調な言語,前屈姿勢,
小股歩行,すくみ足,小字症なども
病期により出現する。
なぜ中脳の黒質に変性が起こる
のかについては多くの研究が
なされているが,まだ原因は解明されていない。
[検査法]
パーキンソン病の診断は,神経学的診察による
症候の正確な把握で可能である。
検査法として普及している
MRI T2強調画像で中脳黒質緻密質の
萎縮を証明することや,
PET で線条体でのドパミンの
取り込みの減少を証明する
ことは可能であるが,日常診療
に供するものではない。
[診断のポイント]
先に述べた症候がそろった状態であれば、
一目で診断が可能である。
しかし,いかに軽症例を,早期に
診断するかが重要である。
そのポイントを次に述べる。
①病初期では,片側性に症候が
出現することに注目すること。
歩行の際に,罹患側の足のひきずりと,
同側の上肢の振りの減弱を見抜くこと。
の振戦のない パーキンソン病はあっても,
筋強剛のない例はまずない。
筋トーヌスを調べ,歯車現象を伴う
強剛をとらえることが大切である。
重症度について Yahr はI~V度まで分けており,
I度は片側性,III度は両側性で,
方向転換不安定,突進現象,歩行障害もあり,
このIII度以上が厚生省特定疾患の認定が受けられる。
V度は全面介助の状態である。
姿勢異常で整形外科を受診する患者は
多いと思われるが,パーキンソン病では
特有の前屈姿勢ばかりでなく,
時には側方に傾斜する姿位
(ピサの斜塔になぞらえてピサ徴候という)を
とり続ける例もあり、注意が必要である。
【鑑別診断]
振戦のみのときには本態性振戦
(動作時および姿勢時振戦)との鑑別が必要。
また,血管障害性,薬剤性などの
症候性 パーキソニズムや,
その他の中枢神経系の変性疾患
(多系統変性症, 進行性核上性麻痺など)に伴う
パーキソニズム との鑑別も重要。
「治療方針
本症は,いったん発症すれば
その治療は一生継続るものであり,
医師と患者の1対1の信頼関係
の確立と,薬物治療が中心で
あることより長期にわたる
投薬計画を立て,薬の匙加減を決める。
「薬物療法
治療の原則としては,
重症度がI~II度の段階では
抗コリン薬(トリヘキシフェニジルなど),
ドパミン受容体刺激薬(ブロモクリプチンなど),
あるいはドパミン分泌促進薬(アマンタジン)
などの単独,ないしは併用を試みる。
症状の進行に伴いドパミン補充療法
としての L-ドーパを開始する。
高齢の患者では、
早期よりL-ドーパの恩恵が
受けられるよう配慮する。
手術療法
振戦が主である場合,
視床の定位脳手術療法もある。
副腎髄質や,胎児中枢を患者の
線条体へ移植する治療が話題となっているが,
その有効性についてはまだ結論が出ていない。
副作用,予後,日常生活指導
L-ドーパ療法が3~5年と長期になると、
薬効の持続が短縮するウェアリング・オフ現象,
突然スイッチを切ったりつけたりするように
症状が変わるオン・オフ現象,
すくみ足,ジスキネジアという
不随意運動などが出現することがあり、
専門医による薬の調整が必要となる。
一方,短期間の入院観察や
リハビリテーションで投薬内容を
変更しないでも症状の
軽快をみることもある。
進行性の疾患であるが,
予後も個人個人で異なり,
可能なかぎり日常生活指導
による在宅療養を推奨する。
パーキンソン病の発症要因に関する
研究は非常に活発であり,
また,進行を予防できる可能性のある
MAO-B阻害薬(デプレニール)の
実用化も検討されており,
患者へ希望を与えることも大切である。
予約専用
営業時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
10:00-12:00 | ● | ● | ● | / | ● | ● |
---|---|---|---|---|---|---|
15:00-19:00 | ● | ● | ● | / | ● | / |
定休日:木曜日、日曜日、祝日、土曜日午後
[住所]
〒274-0063
千葉県船橋市習志野台4-10-10
[アクセス]
新京成線、東葉高速線:北習志野駅から徒歩5分